フランス国境にほど近い、スイス時計産業の本拠地ともいえるラ・ショー・ドフォンと
いう都市にある国際時計博物館で、お目当てのアンティーク時計市が開催されます。
その前日に、以前からの知り合いでフランスの時計学校を卒業し、現地のムーブメント
メーカーでスプリットセコンドの組立/調整を担当しているS君と会って食事をすること
になりました。
彼は今年の初めにNHK・BSの番組に出演したので、ご覧になった方もおられるのではない
でしょうか。
せっかくだというので、彼の友人で別のムーブメント製作会社でウォッチメーカーと
して活躍するニコラ氏を紹介してもらって、共に食事をすることになりました。
彼はトゥールビヨンの最終組立と調整を担当しており、彼が調整したムーブメントを搭載
した時計は1,100,000スイスフランで販売されたそうです。
110万スイスフランというと、30年ほど前に銀座の路上で大貫さんが拾った金額とほぼ
同じですね。
その時計のブランドを明かすのは避けますが、ちょっと前まで”世界初の腕時計を~”
とか自称していて、特定のクルマとのコラボを売りにしていたメーカーです。
懐中時計を改造したりして、それ以前から特注で腕時計は作成されていたのですから、
そんな起源は根拠が無いんですがね・・
それはさておき、こういった高額で売り出される複雑時計の大部分は、彼らが働いて
いるようなムーブメント開発会社で生産されています。
大部分が事務系を含んで全社員が50人未満という小規模な会社で、大メーカーから依頼
を受けてトゥールビヨンやスプリットセコンド、リピーターなど複雑時計の開発・生産
を担当しています。
やたらと”自社ムーブ”にこだわる日本人や当のメーカーとっては、あまりバラして
欲しくなかった話だとは思いますが、これが現実なんですよ。
日本人も、あんまり宣伝やブランド力に惑わされない事が必要だと思いますよ・・。
で、画像はその食事の場で食べた馬肉のステーキ。
意外にも大味でなく大変美味でしたが、醤油バターで食べたいと思ってしまった
ところが、やっぱり日本人です。
次回、ニコラ氏から聞いた”トゥールビヨンの意外な真実”と”スイスへ時計を輸出してきました”です。