香箱表面に付いた、まるでコンパスでケガいたような真円のキズ、何だかわかりますか?
これは分解の際、ゼンマイをほどかないで受け板を外してしまい、受けが外れた瞬間、
ゼンマイトルクで香箱だけがコマのように急回転し、2番車や外した受けの淵と接触して付いた傷です。
校則の厳しい中~高校時代を過ごした真面目クンが大学に入学した途端、抑圧されて
いたゼンマイトルクのごとき鬱憤が爆発し、心も外見も傷ついてしまったかのような、
ほどけまくった”大学デビュー”な学生生活を送るパターンと同じようなものですかね。
ホゾのサビや異物の噛み込みで歯車輪列が回転しない状態=”ザラ止まり”の場合に
このミスを犯しがちです。
あ、このキズ付けたの私じゃありませんよ。
受けのネジが笑っていることや、自動巻きユニットを取り付ける際に一発で位置決め
出来なかった為に付いたと思われる、香箱下にある穴石周辺のキズなどで、過去に雑な作業者によって扱われたのがうかがえます。
次回、”やってしまった”場合の対策や予防方法を紹介します。