とある有名代理店では、オーバーホールと称する機械交換が行われている実態の話題が出ましたので、ここらで真実を一筆。
一昔前まで、スイス製時計は日本の会社がメーカーと代理店契約を結び、”正規品”
として輸入していました。
現在、ほとんどのスイス製有名ブランドはメーカー直営の日本法人が輸入しています。
このあたりは、国産品保護措置の廃止や不均衡輸出入の是正などと関連があります。
それはさておき、この日本法人のトップに就任するのは、本国から任命された、経済や
会社経営に精通した外国人である場合がほとんどです。
彼らが、長期的な展望で時計作りに情熱を傾けているかというと、残念ながらそうでは
無いようです。
というのも、10年、20年とその会社に在籍することは稀だからです。
本国から任命され、長くとも7~8年以内で結果(数字)を残す事を求められ、
本人達も、結果を手土産に本国へ栄転することを希望しています。
当然のことながら、単独では不採算部門であるアフターサービス部にも最大限の経営
効率が求められ、分解/洗浄/組み立てなどせずに、機械交換だけをするように、との
通達がなされるのです。
シリアルNo.が関ってくるクロノメーター認定ムーブは”仕方なく”オーバーホール
してるみたいですが・・
決まったモデルの機械交換なら、経験が浅く賃金も安い若年技術者でまかなえます。
これでは将来への展望も抱けず、一人前になるのに10年以上かかる時計修理師育成は無理ですよ。
そんなに額面の数字が好きなら、モノづくりなどせずに、株や先物、為替取引で利益を
得ればいいのに、と思ってしまうのですが、スイス製機械式時計はローリスク、
ミドルリターンの商品と捉えられているようです。
こんなスイス時計界へ、正攻法で(この場合モノ造り)、いつか反旗を翻したいという
情念を実現するべく、常日頃考えている所存です。
はぁぁぁ~・・・、イヤな世の中だなぁ~